18. 神経細胞死を伴う神経変性疾患−ハンチントン病モデルショウジョウバエを用いた薬効評価−
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殿城亜矢子, 三浦正幸
キーワード
神経変性疾患, ハンチントン病, 薬剤スクリーニング
ハンチントン病を含むポリグルタミン病は、原因遺伝子内におけるCAGリピート(ポリグルタミンに翻訳される)の異常な伸長を特徴とし、ポリグルタミン依存的な異常タンパク質の蓄積・凝集が神経細胞死を引き起こすことが明らかになってきている
ショウジョウバエではポリグルタミン病のヒト病態モデル系が確立されてきており、これまでに神経変性発症メカニズムの解明に大きな貢献をしてきたが、最近薬剤スクリーニングや薬剤評価に病態モデルショウジョウバエが有効であることを示すいくつかの報告がある
Zhangらは、伸長ポリグルタミン鎖を発現させた細胞や酵母を用いて16000個の化合物について、毒性や凝集体の抑制を指標にスクリーニングを行った
そこで得られた候補化合物をハンチントン病モデルショウジョウバエに与えることによって、in vivoにおいてもそれら候補化合物が神経変性の抑制に効果的であることを示した
またAgrawalらは、これまでに報告されたハンチントン病を抑制する薬剤(ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の一つであるSAHA, βシート構造に作用するコンゴレッド、トランスグルタミナーゼ阻害剤であるシスタミン)は単剤投与よりも組み合わせ投与のほうが、より効果的である可能性を示した
ハンチントン病モデルショウジョウバエに、これらの薬剤の組み合わせ投与を行ったところ、単剤投与の場合よりも運動機能の改善や神経変性の抑制が見られた
このようなショウジョウバエを用いた薬剤評価や薬剤スクリーニングは、時間やコストの節約のみならず大規模な評価系を構築することが可能であり、哺乳類を用いた評価系との併用でより精度の高いデータを得ることができると考えられる